お金は貯める方法として「銀行に預金」というのが常識にあると思います。
政府の発表した金融リテラシー問題やコロナ渦において考える時間が増えた事で、ここ数年でお金に対する考え方に大きく変化が生じたように思います。
前回の記事では日本国民一人ひとりが資産運用をする時代が一般的になったというものでしたが、今回は資産運用は何が良いのか、メリット・デメリットなどについて掘り下げてみたいと思います。
私達は既に資産運用をしていた
「銀行にお金を預ける」という行為について考えた事はありますでしょうか。
これは私達が銀行にお金を貸しているという事になります。
当たり前の事かもしれませんが、意外に意識していなかったという方もおられるのではないでしょうか。
通帳をみると貸したお金の代わりに「利息」として返ってきています。
つまり、私達は既に資産運用をしていたのです。
ところが、この銀行預金は資産運用という観点においては問題がありそうです。
現代の銀行預金は金利について
2021年現在の銀行預金の金利はパーセンテージで表すと下記の通りとなっています。
【普通預金】0.001%
【定期預金】0.01%
厳密には銀行や契約内容により割合に差はありますが、ほぼこの値と言われています。
定期預金の利息とした場合、実際の金額に当てはめてみましょう。
(0.01%を数値にすると0.0001になります。)
預金額 | 金利(0.01%) | 計算式 |
---|---|---|
10万円 | 10円 | 100,000×0.0001 |
100万円 | 100円 | 1,000,000×0.0001 |
1000万円 | 1,000円 | 10,000,000×0.0001 |
利息を受け取れるのは1年に1~2回程度の場合が多いですが、受け取る時に20%程度の税金がかかります。
100万円であれば税金が差し引かれて、実際の利息は80円となります。
大きな金額を預けても、金利が非常に低いです。
この状況は超低金利時代やゼロ・マイナス金利と言われており、現代においては預金による資産運用はかなり厳しい状況と言えます。
これは国の政策により金利(利息)が強制的に下げられている為です。
日本の景気を良くする為、銀行からお金を借りる時の利子を下げて、企業や個人がお金を借りやすくしてビジネス・経済を活性化させる為の政策です。
バブル期の銀行金利について
昭和61年から平成3年にかけて起こったバブル期での銀行預金は良い待遇でした。
例えば、定期預金で5~6%ほどの利息があったとされており、現状とは反してバブル期は銀行にお金を預けているだけでお金が増えたそうです。
5%と仮定した場合、実際に金額の割合を当てはめてみましょう。
計算式(5%を数値に正すと0.05)
預金額 | 金利(5%) | 計算式 |
---|---|---|
10万円 | 5,000円 | 100,000×0.05 |
100万円 | 50,000円 | 1,000,000×0.05 |
1000万円 | 500,000円 | 10,000,000×0.05 |
※2021年現在、利息を受け取るときは約20%の税金が発生します。
0.01%の金利と比べると、かなり差が出ました。
この事から、「バブル期の金利」と「現代の金利」では状況が全く異なっており、現代の日本では預金による資産運用でお金を増やすことは厳しい時代へと変化したと言えます。
金利と預けたお金(元本)と預けた時間について
5%の利息を見て少ない額と感じた方もいると思います。
ですが、知っていくと実は奥が深いという事が分かりました。
もし預けるお金(元本)が100万があったとして、仮に年間5%の金利で10年間の資産運用ができたと仮定した場合、どのくらいの金額になるのでしょうか。
単純な計算となりますが、10年間で50万円となります。
50万?!預けた金額の半分もある!!
※ただし、引き出す時は20%の税金が発生します。
さらに資産運用の常識として複利を得ることができます。
「複利」は預けたお金(元本)+預けて得た利益も含めて運用できます。
複利とは対象に「単利」というものがあり、「単利」では預けたお金元本のみ運用することが出来ますが、預けて得た利益を運用する事は出来ません。
この複利の効果で預けて得た利益は使わずに、そのまま資産運用に回す(再投資)とメリットがあります。
100万円を仮に10年間5%の運用できた場合
【単利】50万
【複利】62万
12万円の差が生まれました。
なるほど。単純な話ではなさそう・・・。
単利・複利の違いについての詳細は以下の通りです。
仮に100万円を毎年5%で運用できた場合
(5%を数値にすると0.05)
1年目
【単利】1,050,000円(元本1,000,000+金利1,000,000×0.05×1年)
【複利】1,050,000円(元本1,000,000×1.05)
1年目では単利・複利とも変わらず50,000円の利益が出ました。
2年目
【単利】1,100,000円(元本1,000,000+金利1,000,000×0.05×2年)
【複利】1,102,500円(1,050,000×1.05)
2年目から金利に2,500円の差が出てきました。
複利で1年目で得た利益分も運用したからです。
更に時間(年)で預け続けた場合、どのくらい差がでてくるか計算してみましょう。
これは単純に1年目の運用益2,500円×10年間という計算式ではありません。
複利年別計算式
5%を0.05の数値にして元本100万円を含めると1.05
預けた年 | 運用額(5%) | 計算式 |
---|---|---|
1年目 | 1,050,000円 | 1,000,000×1.05 |
2年目 | 1,102,500円 | 1,050,000×1.05 |
3年目 | 1,157,625円 | 1,102,500×1.05 |
4年目 | 1,215,506円 | 1,157,625×1.05 |
5年目 | 1,276,281円 | 1,215,506×1.05 |
6年目 | 1,340,095円 | 1,276,281×1.05 |
7年目 | 1,407,100円 | 1,340,095×1.05 |
8年目 | 1,477,455円 | 1,407,100×1.05 |
9年目 | 1,551,328円 | 1,477,455×1.05 |
10年目 | 1,628,894円 | 1,551,328×1.05 |
【単利】1,500,000円(元本1,000,000+金利0.05×10年)
【複利】1,628,894円(小数点切り捨て)
元本を差し引いた額
【単利】500,000円
【複利】628,894円
10年間で単利と複利の差額は128,894円となりました。
預ける金額が100万円ではなく200万や500万、1000万とより多額であり、なおかつ20年、30年と時間を多く使えば得られる金額も大きくなります。
また、複利の効果も同様に金額と時間に比例します。
1000万円であった場合の計算をしてみます。
1000万円の複利年別計算式
(5%を0.05の数値にして元本1000万円を含めると1.05)
預けた年 | 運用額(5%) | 計算式 |
---|---|---|
1年目 | 10,500,000円 | 10,000,000×1.05 |
2年目 | 11,025,000円 | 10,500,000×1.05 |
3年目 | 11,576,250円 | 11,025,000×1.05 |
4年目 | 12,155,062円 | 11,576,250×1.05 |
5年目 | 12,762,815円 | 12,155,062×1.05 |
6年目 | 13,400,956円 | 12,762,815×1.05 |
7年目 | 14,071,004円 | 13,400,956×1.05 |
8年目 | 14,774,554円 | 14,071,004×1.05 |
9年目 | 15,513,282円 | 14,774,554×1.05 |
10年目 | 16,288,946円 | 15,513,282×1.05 |
元本1000万を差し引いた10年間の運用益6,288,946円
単利との差額1,288,946円
このように「たった」と思っていた事が、預けた年数(時間)が10年間と長期になると生々しい金額なることを感じたと思います。
よって、預ける額(元本)×時間(年)×運用率の要素が非常に重要です。
「時間」においては後からコントロールできない部分になりますので、可能な限り早い段階、つまり年齢の若いうちに行う事が必要となってきます。
ただ、現在の定期預金の金利は0.01%であり、この金利5%とはバブル期の金利です。
残念ながら現在の銀行預金では、まともな資産運用は不可能です。
いくら預けた金額が巨額でも金利が0.001%であったなら、まさに雀の涙というくらいの金額しかお金を生まないので、資産運用としては意味を成していないと言えます。
株式投資や投資信託を活用
それを可能にする方法として「株式投資」や「投資信託」を活用しようというものです。
銀行預金だけではなく「株式投資」や「投資信託」といった貯蓄方法も取り入れるということです。
資産運用は「不動産投資」や「仮想通貨」といったものが様々ありますが、国の推奨するものとしては「株式投資」や「投資信託」です。
近頃は証券会社を通じて数千円~数万円といった少額からの投資が可能となってきており、誰しもが投資を始めやすい環境が整いました。
こういったものを少額投資と呼び、日本においてはここ最近普及してきたサービスのようです。
ただ、投資については簡単に考えてはいけない部分もあります。
株価暴落などで預けた金額(元本)よりも減ってしまうリスクがあるからです。
投資額と預けている時間は自分でコントロールできる部分ですが、株価の動きに関しては絶対的な予測をする事はできないと言われています。
ところが、20年と長期運用をする事で限りなく元本割れのリスクを回避する事が統計的に分かって来ました。
こういった長期の運用に向くものとして国の推奨するところの「つみたてNISA」や「iDeCo」という制度を賢く利用しようという傾向になってきています。
最後に
何故、お金は銀行に預金という考え方が根強いのか。
その常識はバブル期に良い経験した世代の概念を受け継いでいるからではないでしょうか。
特に日本人の場合、これまで行ってきたものが最善の策とされ、従来の方法を変えない傾向にあるように思います。
私は色々と調べていくに中で、これまでの常識とは違う状況となってきている事に気が付きました。
これは金融庁のいうところの「日本の金融リテラシーの低さを問題」に繋がってくると思います。
現状「お金」の事は誰も詳しく教えてくれませんので自分で調べるしかありません。
そもそもこの「複利」という考え方はアインシュタインの活躍していた時代から存在していたようです。
アインシュタインは、こんな言葉を残しているそうです。
「複利は人類による最大の発明だ。知っている人は複利で稼ぎ、知らない人は利息を払う」
資産運用は昔から稼ぐ手段として用いられてきたことなのです。
(この「知らない人は利息を払う」が気になるところですが・・・。)
投資においては年を取れば取るほど預けられる時間が少なくなるので不利となります。
インターネットの発達により自宅に居ながら簡単に調べられたり、またSNSなどの普及により一個人が情報を発信していく時代へと変わってきているので必要な情報は本人が知ろうと思えば情報は手に入ります。
ですので、ネットを活用しない手はないと言えるでしょう。
学生さんでもこの時間の大切さの事を知っている方が増えてきており、就職してすぐの早い段階から資産運用を初める動きも多々見受けられます。
2021年9月現在、資産運用を義務教育のひとつとして取り入れる案があがったそうです。
今後は金融リテラシーの教育を行うことで、学生の段階から資産運用をすることが常識となる時代がくるかもしれません。
これから金融教育を受ける学生さんは良いかもれませんが、金融教育を受けていない世代はどのように対処していけば良いのでしょうか。
何も考えないで生きる人より関心を向けて勉強した人では全く違う未来が待っているかもしれません。
まとめ
- お金は貯金ではなく運用する流れになっている
- 現状の銀行預金で資産は増えない
- 資産を増やす方法に株式投資や投資信託という方法がある
- 投資は時間(年)と元本額と金利が鍵
- 長期運用は統計的に元本割れのリスクがかなり低い
- 資産運用の考え方はかなり昔から稼ぐ手段として用いられていた
- お金の話は誰も教えてくれないので、自ら知識を得ることが重要