ステファニアは可愛らしい観葉植物ですが、育て方が分からないという方も多いのではないでしょうか。
今回はステファニアの育て方と意外に疑問の多い「発芽」に関しても調べてみました。
基本情報
ステファニアは東南アジア、オーストラリア等に自生するツヅラフジ科ハスノハカズラ属の植物です。
スペルは「Stephania」、雌雄異株であり、名前の由来はギリシャ語で「王冠」の意味があります。
その理由は葯(雄しべ袋)が王冠に見えることとされています。



また、特定の品種で毒性があることが確認されています。
個体によっては50kgを超えるものもあり、大きく育ったものは高価なので種から育てる人も多いようです。
品種について
ステファニアの品種について調べてみると、幾つかの種類が確認できました。
・エレクタ(erecta)/ピエレイ(pierrei)

カンボジア、ラオス、タイ、ベトナムなどの熱帯林が現生地。
エレクタは「直立」の意。
またエレクタとピエレイは同義との情報がありました。
現在はピエレイと呼ばれており、エレクタの方が古い呼び名との事です。
・ヴェノサ(venosa)
マレーシアやインドネシアなどに自生が確認されています。
・ロツンダ(rotunda)
現生地はラオス、タイ、カンボジアなど。
・スベローサ(suberosa)

タイ南西部など岩の多い石灰岩の丘の常緑樹のスクラブと竹林等に自生。
参考サイト1:GBIF
参考サイト2:llifle.com
自生地の気候
私が管理している品種は「エレクタ」という品種名で流通していたものです。
エレクタはピエレイと同義という事ですので、ピエレイの自生の情報が最も多い「カンボジア プノンペン」近郊の気候をサンプリングしました。
【概要】
プノンペンでは、雨季は本曇り、乾季は一部曇り、年間を通じて暑く、蒸し暑く1年を通して、気温は23℃~35℃の幅がある20℃未満または38℃を超えることは滅多にない
【気温】
温かい季節
暑い季節は、3月11日~5月31日までの約2.6ヶ月続く1日平均の最高気温は34℃を超えるプノンペンにおける1年の最も暑い月は4月で、平均最高気温は35℃、最低気温は27℃
涼しい季節
涼しい季節は、9月21日~1月14日までの約3.8ヶ月続く1日当たりの平均最高気温は31℃未満プノンペンにおける1年の最も寒い月は12月で、平均最低気温は23℃、最高気温は30℃
【雲】
晴れの季節
1年を通したプノンペンにおける晴の部分は、11月11日~始まり、3月31日までの約4.6ヶ月続く
プノンペンにおける1年の最も晴れが多い月は2月であり、平均すると48%の確率で、快晴、ほぼ晴れ、または一部曇り
曇りの季節
1年のうちより曇天が多い季節は3月31日頃始まり、11月11日頃に終わるまでの約7.4ヶ月続く
プノンペンにおける1年の最も曇りが多い月は8月であり、平均すると91%の確率で、本曇りまたはほぼ曇り
【降雨】
雨季
1年のうち、雨季は、3月3日~12月23日までの約の9.6ヶ月続くスライド31日間の降雨量は少なくとも13mmプノンペンにおける最も降雨の多い月は8月であり、平均降雨量は191ミリメートル。
乾燥期
1年間の最も降雨量が少ない期間は、12月23日~3月3日までの約の2.4ヶ月プノンペンにおける最も降雨の少ない月は1月であり、平均降雨量は9ミリメートル。
【湿度(しつど)】
高い季節
1年間で最も湿度の高い期間は、2月6日~12月24日の11ヶ月で、その間の快適性レベルは少なくとも74%の間、蒸す、蒸し暑い、または不快プノンペンにおける最も高湿日が多い月は8月であり、31.0日が高湿またはそれより悪い状態。
低い季節
プノンペンにおける最も高湿日が少ない月は1月であり、高湿またはそれより不快な日は20.5日あります。
育て方
【温度耐性】
自生地の気候では「20℃未満または38℃を超えることは滅多にない 」となっています。
耐寒性
自生地の気候より、寒さには弱いということが予測できます。
他サイトでは「寒さには比較的強い」との記述はありますが、10℃以上をキープした方が無難でしょう。
耐暑性
38℃ほどまでは気温が高くなる場合があるので、暑さには強いと思われます。
【日照】
発生場所では熱帯林下となっていることから、直射よりは遮光された間接的な柔らかい光を好むでしょう。
また、年間を通しても、7ヶ月以上本曇りが続く事から、強い直射日光よりは明るめの光程度を好む傾向があるでしょう。
暗い環境でも生育障害を起こすので、注意してください。
【水やり】
自生地の降雨量の多い時期を調べることで、成長期をおおまか予測することができます。
(比較対象として東京では多い月で9月を中心とする31日間、平均合計累積降雨量は192mm)
プノンペンにおける「最も降雨の多い月は8月であり、平均降雨量は191mm、 最も降雨の少ない月は1月であり、平均降雨量は9mm 」とあります。
降雨量は日本の一番多い月と同等といえます。
成長期
現生地での降雨量の多い8月の気温は、平均最高気温は30℃、平均最低気温は26℃となっています。
気候を日本に置き換えた場合、成長期は気温が平均最低気温が26℃を超える初夏~秋の始まり頃でしょう。
成長期は土が乾いたら、水やりを行う事で株の成長を促すことが出来ると思われます。
ただし、土が常に湿っていると枯れてしまう事があるようですので、しっかりと乾いたのを確認してから水やりを行った方が良いでしょう。
気温の上昇の緩やかな時期の水やりは乾かし気味にした方が良さそうです。
休眠期(落葉期)
現生地での降雨量の少ない1月の平均最高気温は32℃、平均最低気温は23℃となっています。
データより20℃を下回る気温にはならないので、非常に安定している事が分かります。
安定した気温にも関わらず、1月では9mmと極端に降水量が極端に落ち込むから、気温の変化には敏感である事が想定されます。
この事から、どのような季節でも断水をする事で休眠期へ誘導する事が出来ると考えられます。
気候を日本に置き換えた場合、休眠期は最低気温が20℃を下回る時期は秋~春頃となりますが、その頃に自然と落葉を始めるので断水を行って下さい。
平均最低気温が23℃を上回る暖かな時期までは、水やりは行わない方が良いでしょう。
日本では現生地ほど周年的に気温が安定していないので、落葉時期が長いです。
【湿度しつど】
1年のうち、湿度の高い季節は11ヶ月と続くことから、高い湿度環境を好む植物のようです。
【土壌】
常に土が濡れている状態を嫌うようですので、排水性の高い土壌を選択しましょう。
培養土を使用する場合は、水はけを良くするため赤玉土などを混ぜ込んだものを使用して下さい。
【肥料】
成長期に薄めた液肥などを与えると良いが、強い肥料分を与えるのは控えた方が良さそうです。
【剪定】
基本的には剪定は不要と思いますが「半つる性」の為、ツルを這わせる支柱などがあると便利です。
【種子の発芽について】

2022年10月に種からの発芽に成功しました。(検証日記へ)
種子を発芽させたいという方が多いように思います。
成長の過程で容易に種を付けますが、発芽をさせるには少しコツが必要なようです。
その一つが「湿度」となりますがステファニアを育てる上での条件となりますので腑に落ちます。
湿度をあげる為には種子を覆える容器があると便利かもしれません。
利点は種子を複数発芽させるのに効率的な点です。
他の代用方法としては「ビニール袋」を用いた方法です。
ビニール袋を使用する場合は、完全に密閉せずに上を開けておく必要があります。
海外のサイトによれば「α–ナフタレン酢酸」という成長ホルモンが有効との事ですが、真偽は不明です。
また、発芽条件として23℃以上の温度は必要になるとの事です。


参考資料:www.agriculture.com
育成日記
2021
1/24 休眠の状態

ステファニアを管理するのは初めてです。
管理当初は葉がありましたが、寒くなるにつれて落葉してしまいました。
ステファニアは休眠期が長く、発芽するまでにかなりの時間を要するようです。
2022
5/7 発芽を確認


発芽までに長い時間がかかりましたが、ここに来てようやく芽吹きに動きがみられました。
休眠時は下手に水やりをしてはならず、動きがあるまで待つのが鉄則です。
つい手を加えてしまいそうな衝動にかられました・・・。
恒例の霧吹きで株の表面の散布を行いましたが、この間は水やりはほとんど行っておりません。
現在5月上旬ではありますが、これでも発芽するには早い方なのかもしれません。
管理方法としては「湿度が高い方が良い」との事でしたので、ビニールに覆って育成ライト下で管理をしていました。
5/24 開花


黄色い花を咲かせています。
開花をしましたが、雌雄異株につき単体では種をつけることは無いはずです。


発芽するまでは水やりを与える事はほとんどありませんでしたが、発芽してからは土にも水を与え始めました。
ただ、ビニールでの管理のため湿度と温度の関係から用土から謎のキノコが生えだし、カビが発生しました。
このようにビニール管理ではカビが繁殖するおそれがあるので、株がカビに負けてしまわないよう気をつけてください。
それ以降はビニールでの管理を止めました。
7/13 葉の展開

丸い葉を展開させ、つるを伸ばして成長しています。
あんどん仕立てにして管理している方もいるようです。
残念ながら花をつけましたが、何事も起きることなく散り落ちてしまいました。


不可解なことにコーデックスはシワがよっています。
おそらくは水やりの頻度、もしくは水量が少なかったためでしょう。
つるが伸びてからは水やりは慎重になり過ぎないほうが良いのかもしれません。
8/30 植え替え

さらに塊根部にシワが入り、いよいよビジュアル的に深刻化してきました。
ここへきて植え替えを決意。


ステファニアは発根していないものも多いですが、土を崩してみると根がありました。
植え替えの用土は単体用土を選択。
栄養不足になりやすいですが、水やり頻度を多くしつつ株腐れ防止を考慮して、株のシワの復活を促す狙いです。

9/6 種の発芽発覚


他にも別のステファニアの株を管理していますが、そのうちの1鉢の中にこぼれ種から発芽している種子を発見しました。
実は何度か種子の発芽をチャレンジしてはおりますが、ことごとく失敗しております。
まさかこのような形で発芽がみられるとは思ってもみませんでした。
どのような管理条件下であったのかを整理し、種子からの検証を試みたいと思います。
9/27 種子からの発芽の検証開始

以前のこぼれ種による発芽から発芽条件の仮説を立てて播種してみました。
10/3 種子からの発芽確認


検証開始後すぐに発芽がみられましたので、私の仮説に間違いはなさそうです。
引き続きこのまま育ててみようと思います。
もし発芽に関してやり方が気になるようであれば、メールアドレスを添えてコメントでもいただければお教えします。
一番最後の♡でも良いのでとにかく何かの反応がほしい(笑)
ではまた!
まとめ
・高い温度を好む
・高い湿度を好む
湿度を保つ方法は以前にご紹介した通り幾つかあります。
・夏の成長期は土が乾いたら、しっかりとした水をやりを行う
・夏以外の葉がある時期は土を乾かし気味に管理
・寒い時期に向かうにつれ、徐々に水やりの回数を減らす
・落葉後は断水する
・強い直射日光を避ける
はじめまして。
3年前からステファニアがとても気になり、ネットでも園芸店でも在庫がなく、種から育てようと種を入手しました。
気温もあると思いますが、未だに変化なしの状況です、、、。
もしよろしければ、主様の方法を教えていただけますでしょうか?
コメントありがとうございます。
メールをお送りさせていただきましたので、そちらよりご確認をお願いします。
初めまして!
昨年たまたま見つけたステファニア・ピエレイに一目惚れし、初めて塊根デビューをした初心者です。
大変初歩的な質問かもしれないのですが、教えて下さい。。。
これから発芽の時期になってくると思うのですが、その際は暖かくなってきたら先に霧吹きなどでの水やりをする必要があるあるのでしょうか?それとも放っておいても気温と共に勝手に発芽しますか?
HANA 様
コメントありがとうございます。
育て方については私自身も手探り状態であり、植物の数ほど育て方があるのですから気に病むことはないと思います!
特にステファニアの育て方は調べてみないと見当もつきませんよね(笑)
実際に育ててみた経験からお伝えできることは、
私の株の場合は水やりはせずに暖かくなってきた頃に、たまに霧吹きをしていました。
芽吹くまでは水やりをしてはいけないとの記事をよくみかけますが、霧吹きをしてしまったのは完全に土が乾燥していては、芽吹きが起こりにくいのではと思ったからです。
おそらく全く霧吹きもしなくても芽は出るのかもしれませんが、検証をしていないので不確かです。
芽吹き確認後はしっかりと水やりを行っていました。
水やりが弱いと発根されず、株の余力だけで芽吹いてしまうようです。
私の場合は水やりが足らなかったせいなのか株が細ってしまいました。
実は去年検証した株で、とある検証を行っており、今年はどのように成長しているか確認できていません。
そのうち記事を更新する予定です。
あまり有益な情報ではないかもしれませんが、ご容赦ください。
色々と丁寧に教えてくださり、ありがとうございます!
昨年、伸びた葉がとても可愛らしく毎日の癒しだったので、今年もぜひ元気に育ててあげたいなと思っています!
教えていただいたことを参考に管理してみようと思います。ありがとうございます♪( ´θ`)
また今年の様子も楽しみにしています♪
はじめまして。
ステファニアの実生について調べている
うちにこちらにたどり着きました。
ステファニアの種を撒いて一度たりとも
発芽に成功したことがありません……
もうお手上げです(苦笑)
どうかこのポンコツにひと欠片のレシピ
をご教授いただけましたら幸いです。
コメントありがとうございます。
ステファニアの実生は情報がないので失敗する事が多いですよね。
なのでポンコツという事は無いと思いますよ(笑)
少ない情報ではございますが、ご要望どおり種子からの発芽についてのメールをお送りさせていただきます。
宜しくお願いいたします。
拝見させていただきました。
ポンコツじゃないと言っていただき
ありがとうございます(笑)
これを参考に改めてステファニアの
実生の精度を上げたいと思います!
成功してなにかしらプラスαできる
情報を得ましたらまたコメントにて
還元させていただきます♪
貴重な情報ありがとうございました!
ロメオ
ロメオ様
ご配慮いただきありがとうございます!
楽しみにしております。
また宜しくお願いします。
初めまして!
ステファニアの種子について興味があり、検索していたところこちらのブログに辿り着きました。
大変参考になります。
もしよろしければ、発芽に関して詳しくお話をお聞きしたいです。
また、ひとつ疑問なのですが、種子を発芽させて育てれば芋の部分も出来ていくということですよね?
じゃがいものように、芋に芋がついて増えていくという感じではなさそうだなと思っていますがその辺りはいかがでしょうか?
ぜひ教えてください(^^)
コメント有難うございます。
お返事が遅くなり申し訳ございませんでした。
「ステファニア種子からの発芽」のやり方は特設ページより閲覧をお願いします。
パスワードはコピーして開封してください。
申し訳ございませんが、正直なところ発芽だけしか体験していないので、確実な事がお伝えできない状況です^^;
これは憶測になりますが、ボコボコと増えた状態のものを見かけた事がないので、芋が増えてゆくというよりは1つの芋が大きく成長するのではないかと考えています。
あまり有益な情報ではないかもしれませんが、メールを送信させていただきました。
よろしくお願いいたします。
コメントありがとうございます。
すぐに種撒き用用土に撒きラップしてみました。感じによると、他の種蒔きとほぼ変わらない気がしますが 発芽してからの方が大変な気がしますが、いかがでしょうか?
最近実生に目覚めチャレンジしてみていますが
(o^^o)
種からの発芽には成功しましたが、私も初めての経験なので今後も検証していく予定です。
情報があまりなかった為やり方が分からず、他の情報に惑わされて発芽に半年くらい時間を費やしました。
今後の育て方については体験談を元にブログを更新していこうと思いますので宜しくお願いします。
ピエレイの種は幾つがあるのですが
発芽させた事が無いので参考になりました。
チャレンジしてみます。
コメント有難うございます。
種の発芽については、検証をまとめたものをご用意しておりますので、
詳細をメールにて送信させていただきました。
半信半疑な部分はございますが、そちらをご参考になさってください。
宜しくお願いいたします。