現在でも国内流通の少ないピレア・グロボーサ(グロボサ)ですが、育て方などの情報が少ないのが現状です。
この珍しい品種について、限られた情報を元に育て方と個人的な見解を交えながらお伝えできればと思います。
基本情報
最大の特徴としては、葉の裏に透明な窓を持っており、光を透かすと反射して輝くところです。
寒暖の差がある秋に直射日光を当てると紅葉します。
学名は「Pilea serpyllacea ‘Globosa’」で和名は「露鏡」です。
学名の基本種を確認すると「セルピラケア(セルフィラケア)」となっていました。
よって「グロボーサ」の育て方については基本種である「セルピラケア」に近しいのではないかと考えています。
まずは「セルピラケア」の育て方について調べていきたいと思います。
基本種セルピラケアについて
主に南米北部(ベネズエラ、コロンビア、エクアドル、ペルー、ボリビア)などに自生する草本植物です。
高地全体の露出した岩の上などで育ちます。
現在では自生地から海外に持ち出され、ハワイやガラパゴスなどの地域に帰化しています。
自生地の気候サンプルとして「ベネズエラ・カラカス」と「 ボリビア・サンタクルス」の地域に絞りました。
参考資料:wikipedia
自生地の気候
面倒な方は育て方へジャンプしてください
ベネズエラ・カラカスの気候概要
(分布域北端の気候参照として)
・雨季:蒸し、本曇り
・乾季:ほぼ曇り、年間を通じて暖かい
・1年を通して、気温は17~29°Cの幅があり
・15°C 未満または31°C を超えることは滅多にない
気温
温かい季節
・3~6月の約3ヶ月間
・1 年の最も暑い日は4月
・平均最高気温は 29°C
・最低気温は 19°C
涼しい季節
・12月5日から1月30日
・1 年で最も寒い日は 1月20日
・平均最低気温は17°C、
・最高気温は26°C
雲
晴れの季節
・1月~3月
・1年のうち最も晴れた月は1月
・37%快晴、晴れまたは一部曇りであり、 63%本曇りまたはほぼ曇り
曇りの季節
・3月~12月
・1 年のうち最も曇った月は 9月
・82%本曇りまたはほぼ曇り、18%快晴、晴れまたは一部曇り
降雨
雨季
・3月~1月の約9ヶ月間
・最も多い月は8月
・平均合計累積降雨量117mm
乾燥期
・降雨量の少ない季節は1月~3月
・最も降雨量が少ない月は3月
・平均合計累積降雨量7mm
湿度
高い季節
・3月~12月19日の9ヶ月間
・蒸す、蒸し暑い、または不快
・1年間で最も蒸す月は5月で74%の確率で蒸す
低い季節
・蒸さない月1月
・蒸す可能性は18%
参考資料:weatherspark.com
ボリビア・サンタクルスの気候概要
(分布域南部気候参照として)
・夏:長く、暑く、蒸し暑く、湿度が高く、ほぼ曇り
・冬:冬は短く、快適で、高湿で、一部曇り
・1年を通して、気温は15°C~ 31°Cの幅がある
・10°C 未満または 34°C を超えることは滅多ない
温度
暑い季節
・9月~3月までの約6ヶ月間
・1 年の最も暑い月は11月
・平均最高気温は31°C
・最低気温は21°C
涼しい季節
・5月~7月
・1年で最も寒い月は7月
・平均最低気温は15°C
・最高気温は25°C
雲
晴れの季節
・4月~10月の約6ヶ月間
・1年のうち最も晴れた月は8月
・69%の割合で快晴、晴、または一部曇り
・31%の割合で本曇りまたはほぼ曇り
曇りの季節
・10月~4月の約6ヶ月間
・1年のうち最も曇った月は2月
・78%の割合で本曇りまたはほぼ曇り
・22%の割合で快晴、晴または一部曇り
降雨
雨季
・1月を中心とする31日間
・平均合計累積降雨量は161mm
乾燥期
・8月を中心とする31日間
・平均合計累積降雨量は35mm
湿度
高い季節
・9月~6月の約8ヶ月間
・42%の確率で蒸す、蒸し暑い、または不快が続く
・1年間で最も蒸す月は1月で94%の確率で蒸す
低い季節
・最も蒸さない月は7月
・蒸す可能性は25%
参考資料:weatherspark.com
育て方
温度耐性
耐寒性
サンプル2地域とも10℃を下回る気候ではないので、耐寒性は低いと思われます。
多くの地域では冬場は室内に取り込む必要があるでしょう。
耐暑性
耐暑性については最高で30~34℃となっていますので、耐暑性はやや高めでしょう。
ただし、35℃を超すような日本での真夏の高温環境は好まないと思われます。
日照
自生地では曇りの日が多く、快晴が数日間何日も続く気候ではないので、曇りの日のような適度な明るさを好みます。
このことから、室内環境で育てるのに向く植物といえるのではないでしょうか。
ただし、植物ですので暗すぎる場合は徒長の恐れがあります。
水やり
自生地でははっきりとした雨季があり、乾燥期は降雨量もかなり減少するように気候変動が大きいです。(比較対象として東京では多い月で9月を中心とする31日間、平均合計累積降雨量は192mm)
温かい季節の初めと終わりの気候をチェックしてみましょう。
【ベネズエラ・カラカス】
・暑い季節は3~6月の約3ヶ月間
・最も多い月は8月で平均合計累積降雨量117mm
3月
・平均最高気温約27℃
・最低平均気温が約18℃
・平均降水量約13mm
6月
・平均最高気温約28℃
・最低平均気温約20℃
・平均降水量約82mm
【ボリビア・サンタクルス】
・暑い季節は9月~3月までの約6ヶ月間
・最も降雨量の多い月は1月で平均合計累積降雨量は161mm
9月
・平均最高気温は約29℃
・最低平均気温は約18℃
・平均降雨量約59mm
3月
・最高平均気温約30℃
・最低平均気温は約22℃
・平均降雨量118mm
データより年間を通して雨量があります。
気温が18℃を上回る季節ではしっかり水をあげないと乾燥に耐えられない可能性があります。
逆に17℃以下となる季節では水やりの調整が必要となってきます。
寒さに弱いので10℃を下回る環境で水やりをすると寒さに耐えられない可能性があります。
つまり、気温が高いときは水分を好み、気温の低いときは水分を嫌う植物ではないでしょうか。
温度のある時期の水やりは土が乾燥する一歩手前にくらいに行うと良いでしょう。
※寒い時期でも全く水やりをしないと枯れてしまう恐れがありますので、暖かな日を選び、なるべく朝に行うなどタイミングを計る必要があります。
湿度(しつど)
現地では湿度が高く、蒸し暑い日が多く長いです。
よって、高温多湿を好む植物といえるでしょう。
成長日記
2021
8/4 成長記録開始
市場にあまり出回らない品種ですので、情報が少なく育て方は良く分かっていません。
ピレアはたくさん種類があり個性的なものも多いですが、こちらの品種はなかなか個性的です。
これは憶測となりますが、「グロボーサ」は「セルピラケア」を量産する過程で葉裏に水を貯める特異な性質を持つ種が誕生して、それが現在流通されているのではないかと思われます。
(詳しい方がおられましたらぜひ教えて下さい。)
葉は細々としており、絶妙なアンティークカラーの品種です。
葉の大きさや色合いが好みな方も多いのではないでしょうか。
こちらは「グロボーサ 個体B」です。
私の誤った認識として「ピレア」は土を乾燥させて育てると思っておりましたので、乾燥気味に育てた結果、水切れにより枯らしてしまいました。
室内環境で育てており、エアコンの冷房を常に付けておりましたので、土が乾きやすい環境でした。
土を乾燥させ過ぎた為に枯らしてしまったようです。
「グロボーサ」は土の湿り気を好む品種という事が分かりました。
今後は乾かし気味に育てるのではなく、多湿気味に育ててみようと思っています。
8/25 葉裏の窓の撮影
変化はありませんでしたが、肝心な部分を撮影していなかったことに気が付きました。
葉裏の透明な窓です。
光に透かしてみました。
正直これだと分かりづらいと思いますので、拡大撮影したものがこちらです。
葉の裏が透明になっているのが確認できます。
葉を手で潰してみると、「ピシャン」と水が弾けて潰れました。
かなり水を溜めているようです。
8/30 葉にまだらな模様が表れる
ある時、葉が霞んだような模様が出来ていることに気付きました。
こちらはおそらく通常の状態ではないです。
午前中に直射のあたる場所に置いていたので「葉焼けを起こした」もしくは「ハダニなどの害虫が原因」そのどちらかと思っていましたが、霧吹きをしたところ、蜘蛛の巣のようなものが表面化したので、害虫によるものの可能性が高いです。
その後の対処をどうすればよいか悩んでいます。
9/9 容態が急変
一見、問題がなさそうに見えた「グロボーサ」に異変がありました。
株がグラグラとしてます。
茎を引っ張ってみると、根がついていませんでした。
最後の望みをかけましたが、その後枯れてしまいました。
まとめ
室内で育てていた場合、一番悪い生育環境として以下のとおり挙げられます。
- クーラー(冷たい風)が直接当たっている
- 湿度が低い
- 土の乾燥
これら三拍子揃った環境では高確率で枯れてしまうでしょう。
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