ディスキディアは様々な品種が出回っておりますが、その中でも異彩を放っているのがこちらの「ドラゴンジェイド(イデアミヌブ)」です。
値段も他の品種と比較してもかなり高額ですので、育てる上で絶対に失敗したくないです。
私なりに育て方について調べたり、実際に育ててわかったことを公開させていただきますので、お悩みの方はどうぞご参考になさってください。
基本情報
私が管理しているディスキディアのラベルには「’Dragon Jade’(ドラゴンジェイド)」の名前が記載されていました。
調べていくと「’Dragon Jade’(ドラゴンジェイド)」の原種は「Dischidia Nummularia ‘Ideaminubu’」であるということが分かりました。
Googole特許によれば、この「イデアミヌブ」は2004年にタイのチョンブリにある商業温室で「ヌンムラリア」を管理していたところ、突然変異によって誕生した新しい品種を「Thumrong Suphachadiwong」という方が発見したとあります。
つまり、「イデアミヌブ」は「ヌンムラリア」の突然変異種ということになります。
その後、「挿し木による増殖が成功」とありますので、その系統の種が量産・流通したものが私達の手元にある可能性が高いです。
よって「ドラゴンジェイド」は園芸流通名、「イデアミヌブ」は学名ということになります。
ドラゴンジェイドとは別名で流通しているものが見受けられます。
参考資料:Googole特許
基本種について
学名から基本種は「Nummularia(ヌンムラリア)」となっています。
したがって、 「イデアミヌブ」の生態は「ヌンムラリア」に近しいものと考えられます。
「ヌンムラリア」の分類上位である「ディスキディア」は、「マメヅタラン」いう大きな括りとなっており、主に熱帯地域に自生する植物です。
ほとんどの「マメヅタラン」は、樹上や岩などに着生する「着生植物」ですが、種によっては蟻と共生関係を持つものもあります。
蟻の住居スペースを提供するために改変された葉(貯水嚢)が見受けられますが、「ヌンムラリア」は貯水嚢は無い種となります。
また、しばらくの間、商標名のなかった「ヌンムラリア」ですが、現在では商業品種とし「Supha08」という名前で米国が特許登録を得ているようです。
ただし、「Supha08」と「イデアミヌブ」では葉の大きさや色の明るさが異なるので、別種扱いとしているとの事です。
自生地について
分布域はインド、中国、インドネシア、ラオス、タイ、ベトナム、ミャンマー、マレーシア、オーストラリアなど熱帯アジアに多岐にわたります。
分布域のはずれにあるインドではチョーター・ナーグプル高原の下のシミリパール丘陵地帯にあるという記述を発見しました。
分布域が広いため、その近郊の大きな都市として「コルカタ」を気候サンプルとして調べてみます。
※1つの地域ではサンプルデータとしては不十分ですが、分布が広域の為ご了承ください。
参考資料1:wikipedia
参考資料2:uforest.org
参考資料3:www.researchgate.net
インド・コルカタの気候
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【概要】
・雨季は暑く、蒸し暑く、本曇り
・乾季は暖かく、高湿で、ほぼ晴れ
・1年を通して、13°C~35°Cの気温幅がある
・10°C未満または38°Cを超えることは滅多ない
【気温】
●温かい季節
・3月~6月まで約3.0か月
・1日平均の最高気温は33°Cを超える
・1年の最も暑い日は4月
・平均最高気温は35°C
・最低気温は26°C
● 涼しい季節
・12月~2月まで約1.8か月
・1日当たりの平均最高気温は27°C未満
・1年で最も寒い日は1月
・平均最低気温は13°C
・最高気温は25°C
【雲】
●晴れの季節
・10月~5月まで約7.2か月
・最も晴れた月は2月
・88%の割合で快晴、晴、または一部曇り
・12%の割合で本曇りまたはほぼ曇り
●曇りの季節
・5月~10月頃までの約4.8か月
・最も曇った月は8月
・92%の割合で本曇りまたはほぼ曇り
・8%の割合で快晴、晴または一部曇り
【降雨】
●雨季
・1月~12月までの約10か月
・降雨量は少なくとも13mm
・最も多い降雨量は、7月を中心とする31日間
・平均合計累積降雨量は274mm
● 乾燥期
・12月~1月までの約1.9か月
・最も降雨量が少ないのは1月を中心とする期間
・平均合計累積降雨量は8mm
【湿度(しつど)】
●高い季節
・2月~11月の約9.1か月
・快適性レベルは少なくとも27%の間、蒸す、蒸し暑い、または不快
・1年間で最も蒸す月は、8月で100%の確率で蒸す
●低い季節
・1日のうち、最も蒸さない月は1月
・蒸す可能性は3%
育て方
湿度や温度、水やりの頻度などの調整が必要であるため、育てるには難しい品種になると思います。
温度耐性
オランダのホンセラースデイクの温室で育てられたIDEAMINUBUの管理データによれば、「日中は20℃から22℃の範囲であり、夜間は20℃から21℃の温度で管理をされていた」とあるよう、昼夜の寒暖差が無い環境でうまく育てることが出来るようです。
耐寒性
現生地での気温は13°C~35°Cの気温幅となっている事から、耐寒性は非常に低いと思われます。
これは私の経験となりますが、冬に10℃以下の環境にしてしまい、10℃以上の環境に移したましたが枯れてしまった事があります。
ディスキディアの一部の品種は低温をかなり嫌うようです。
低温にさらしてしまった場合、その時は症状がでなくても、一定時間経過してから症状が表れる場合があります。
10℃以下にならない環境づくりは必須です。
耐暑性
現生地では35℃ほどまで気温が上がりますので、耐暑性はそこそこあると思われます。
日照
自生地では樹木の下に着生しているので、木々から射す込むような明るい日陰のような環境を好むでしょう。
ですので、直射日光は避けた方が良いでしょう。
水やり
自生地では雨季は約10ヶ月と長く、平均合計累積降雨量は274mmと降水も多い気候ですが、降水量が8mmと極端に落ちる乾燥期もあります。
(比較対象として東京では多い月で9月を中心とする31日間、平均合計累積降雨量は192mm)
成長期
自生地での成長期は降水量のある6月~8月頃と思いますので、そちらの気温を調べてみると最高平均気温が約32℃、最低平均気温が27℃となっております。
日本での最高平均温度が30℃を超える季節が成長時期といえるでしょう。
自生地ではしっかりとした降雨量があるので、成長期にはしっかりと水を与える必要があります。
着生植物という事と熱帯アジア気候ですので、大量の降水と乾燥を繰り返すような環境を再現できれば好調な生育が見込めるでしょう。
休眠期
自生地での降水量が8mmと極端に落ちる季節は12月~1月となっており、この時期の気温を調べてみると、最高平均気温が25℃、最低平均気温が13℃となっております。
最低平均気温が10℃を下回る時期では断水をした方が良いでしょう。
低温時に水を与えてしまうと、枯れてしまう場合があります。
土壌
樹木に着生する植物ですので、培養土などの湿り気が長く続く用土は嫌うでしょう。
基本的にはヤシ殻などの繊維質な用土を使用する事が多いようです。
湿度しつど
現生地では湿度が100%となるほどの高湿度状態が数ヶ月続きます。
したがって高温多湿を好み、空気が乾燥した環境を嫌うでしょう。
成長期に室内で管理をしていた場合はエアコンなどで湿度が落ちますので、霧吹きや水苔など湿り気のあるものを近くに置いて湿度(しつど)を高めると状態が安定するでしょう。
最高平均気温が30℃を超えるような季節では高い湿度を保ってください。
ただし、自生地においても乾燥期がありますので、平均最低気温は13°Cを下回るような低温の季節は乾燥をさせてください。
参考資料1:homeplantsguide.com
参考資料2:plantcaretoday.com
成長日記
2021
8/4 成長記録開始
ディスキディアという事で、イデアミヌブ高額なので、当然枯らしたくはありません。
育て始めたのは3/下旬の春頃でした。
ディスキディアは「土壌が常に濡れていると枯れてしまう」という事は知っておりましたので、極力霧吹きを多用して管理しておりました。
入荷当初はもっと葉に光沢があり、生き生きとした明るいグリーン色をしておりましたが、現在は葉色が薄くなりしわが寄っています。
現在に至るまで、葉の一部が黄色くなり、落ちてしまったものもあるので株のボリュームが減っています。
イデアミヌブにとって何か好ましくない環境であったのでしょう。
生育環境はエアコンの冷房が効いた室内で育てていますが、自生地では基本的には湿度(しつど)の高い環境となっていますので、湿度が足らなかったのではないかと考えています。
温度のある時期は湿度を好むみようですので、今後はビニールに覆われた湿度の高い環境で育ててみたいと思います。
また、冒頭でお伝えしたように、なるべく土壌の乾燥をと思っておりましたので、逆に用土の乾燥をし過ぎたようです
もう少し水やりの頻度を高めてみようと思います。
用土は、ほどよい保水性と排水性を兼ね備えたヤシ殻を使っている生産者が多いようです。
排水性のある用土の場合、水やり頻度は少し多くした方が良いのかもしれません。
10/8 枯れる寸前
非常に残念な結果となってしました。
根や葉が黒く壊死しています。
原因は風通しが悪くなった事によるものと考えています。
湿度を保つために「ミニ温室」へ移動して管理しておりましたが、締め切って管理していたため空気の循環が悪くなってしまったのです。
湿度のことしか考えておらず、温室を完全に締め切って管理していました。
温室内を確認するとカビが繁殖したようでした。
植物には空気の循環がなくなると悪い影響があるというのを学ばせていただきました。
その後は「サーキュレーター」を備え付けるようにしました。
サーキュレーターは壁掛けタイプや床置きタイプがあるようです。
まとめ
- 10℃を下回る低温を極端に嫌い、安定した暖かな温度を好む
- 乾燥を嫌い、高い湿度を好む
- 土の湿り過ぎを嫌い、極度の乾燥も嫌う
- 空気の循環も必要
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