アンスリウム クラリネルビウム
アンスリウムといえば、艷やかな葉に鮮やかな花を咲かせるといったイメージを思い浮かべるのではないでしょうか。
クラリネルビュームは一般的なアンスリウムと比べてだいぶ印象が違います。
非常に魅力的な観葉植物ですが、どうやって育てれば良いのか戸惑う方も多いと思いますので、成長過程を公開していきます。
難易度について
クラリネルビウムを育てるのは、そこまで難しく無いと考えています。
アンスリウムですので、寒さには弱いですが、冬は室内で管理をすれば余程の低温にならない限り枯れる心配はないと思います。
育てる際の注意点
水切れ
枯らしてしまう心配は少ないですが、油断をして水切れを起こしてしまう事があります。
水切れを起こしてしまうと葉に傷みが出て、ダメージを受けた部分は元には戻りません。
成長時期に土が乾燥した状態が3日続いた際、葉先が茶色く丸まりダメージが残ってしまった経験があります。
極度に乾燥しないよう注意してください。
自分の管理しているクラリネルビウムは葉にダメージが残りました、株自体に問題はありませんでした。
葉が傷んでしまった場合は、見栄えが悪くなりますので切り詰めても良いですが、そのままにしておいた方が次の葉が展開するまで時間を短縮できるかもしれません。
乾燥のし過ぎはNGですが、頻繁に水切れが発生するという感じではありませんので、与えすぎにも注意してください。
また、寒さに弱いので低温時の水やりの量は調節が必要です。
冬場の水やりが原因で寒さに耐えられず、枯れてしまう恐れがあります。
アンスリウムは湿度の高い環境を好みますので霧吹きで保湿を心がけてください。
室内管理の成長傾向
室内で管理をしていて思った事はなかなか成長をしてくれないという事です。
管理方法にもよりますが、管理していた個体は長い間、最初の状態からあまり成長や変化がみられませんでした。
ただし、これは大きく成長してほしくない場合においては良い方に捉える事も出来ると思います。
生育不足の仮説
成長に変化を感じられない場合、その要因として「照度不足」という仮説を立てました。
そこで今回は直射日光に当てて育てるという極端な検証を行う事にしました。
アンスリウムの一般的な管理方法としては葉焼けを起こしてしまうので、直射日光に当てないで育てるのが常識です。
検証
一般的な品種での検証
初めは段階として一般的な品種のアンスリウムで検証を行いました。
【対象】
品種無記名のアンスリウム(白花) 4号鉢
【方法】
・夕方の1〜2時間直射日光に当てる。
・雨が降っても室内に取り込まず、雨ざらし状態で管理。
【結果】
葉焼けを起こしました。
一般常識のとおり葉焼けを起こすのは間違いありませんでした。
葉焼けを起こした箇所は元に戻りそうもありません。
しかし、その後も直射日光を当て続けたところ変化がみられました。
新しい葉の展開です。
室内で管理していた時には見られなかった成長です。
気になった点として新しく展開した葉は葉焼けを起こしておりません。
最初に葉焼けを起こしたのは急な変化に対応出来なかった為であり、その後は直射日光に適応した葉が形成されたと考えられます。
直射日光に適応した葉は葉焼けを起こさないという事のようです。
余談になりますが、観葉植物のシンゴニウムにおいても同じ状況になりました。
室内管理では暗い環境であった為に光量が足らずにどんどんと株が弱っていきました。
考えた末、屋外で直射日光を当てた管理にしたところ、最初は葉焼けを起ましたが、ツルをいくつも伸ばすほど元気の良い状態になりました。
今回の考えに至った理由は過去にそういった経験があったからです。
他の観葉植物においても直射日光を当てて管理した方が元気に成長する場合もあるように思います。
ただし、適応しない植物もあります。
例えばセントポーリアですが、元気になると思い直射日光に当てた事がありました。
その後、重度の葉焼けを起こしてしまい、株自体も枯れてしまいました。
(生き物を枯らしてしまい、すみませんでした)
その後の様子ですが、屋外管理で順調に成長をしてくれました。
さらに屋外で管理をし続けたところ、花を咲かせてくれました。
昔からアンスリウムを育てている方で花が咲かない方も多いのではないでしょうか。
原因は日照不足かもしれません。
クラリネルビウムでの検証
他品種で成長を促す事に成功したので、クラリネルビウムでも同様の結果になると考えました。
前回の検証を踏まえ、ハードな直射日光は避けて時間帯を限定した朝日程度の柔らかな直射日光に変更しました。
2021
7/20 検証を開始
水切れを起こしてしまった個体です。
昨年から管理しておりますが、長い間、成長の変化がみられません。
規則に成長しており不格好な状態です。
さっそく明るい窓辺へ移動しました。
7/24 変化あり
直射日光のあたる窓際へ移動したところ早くも変化がありました。
それまで成長がみられなかった個体に新たな葉が成長してきました。
株元には更に新しい葉芽(葉B)があります。
この頃から1週間おきに液肥を与えました。(一般的な施肥よりも早いペースです)
7/29 成長ぶりに驚く
検証開始から9日後(前回から5日)で急に葉が大きく成長しました。
別の新しい葉も展開を始めています。
クラリネルビウムは成長が早いです。
8/4 順調に成長
前回から6日後、形も整って若い時は茶色だったのが緑色へ移り変わりました。
成長すると白い葉脈も際立ってきました。
横に成長している傷んだ葉は見栄えが悪いので切り落としました。
古い葉を少しづつ切り落としていき、徐々に形を整えてくいく予定です。
8/23 葉色に変化あり
大きな葉も成長を続け、さらに濃い緑色へと変貌を遂げました。
それぞれの日を比べてみると違いがはっきりと分かります。
写真の通り、水切れ具合が一目で分かるSusteeを導入しました。
ご存じない方はこちらから
濃い緑の部分がうっすら白くなっているのか分かりますか?
これは産毛が反射して輝いているのです。
実物をみると感動するよ!
花芽と思わしきものが葉の脇から覗かせていました。
テンナンショウの花?みたいな形ですね。
8/30 花芽の成長と葉傷みが起きる
成長が緩やかになってきたように感じますが、葉の縁に傷みが表れました。
管理時期は8月下旬となり、高温になる日が続いています。
原因は葉が直接窓に当たっていたからか、もしくはアンスリウムは葉から余分な水を噴出するので、レンズ現象による葉焼けと考えています。
花芽もだいぶ成長してきました。
9/7 葉に傷みが広がる
葉の傷みがじわじわと広がってきているように思います。
開花状況は寸前です。
9/14 続々と葉が展開する
葉の成長具合は、更に調子が上がってきたように思います。
このまま大きく成長することを期待します。
ようやく花がむき出しになりました。
仏炎苞と呼ばれるそうですが、一般的なアンスリウムとはだいぶ印象が異なり目立たない花色をしています。
10/5 一番花は枯れ、二番花を開花
検証開始から約2ヶ月半後になりました。
ボリューム感が増して、かなり株が充実してきました。
明るい環境で育てた事により、かなり成長が促進されました。
少し見づらいですが、中央部に新しい花芽が出来ています。
一番花は枯れていました。
海外のサイトの記述によれば「花後は実を付ける」との記述を確認しましたが、結実はありませんでした。
2022
3/17 植え替え
検証開始から約半年後の状況です。
水切れは頻繁に起きるようになって、葉が傷んできたので剪定を行いました。
ボリュームは無くなりましたが、株は太くしっかりとしています。
掘り出して根を確認してみると、枯れている根は黒くなっており、生きた根は白くなっているのが確認できます。
成長を阻害する古い根は取り除きました。
昨年末頃からカイガラムシが頻繁に発生するようになりました。
節や茎の間など細かい隙間に繁殖をするようで、薬品で予防・殺虫を行いながら、指で物理的に取り除きました。
特に黒くなった古い皮をめくると下にいる事が多いので、満遍なく確認が必要です。
これ機に底面給水鉢へ植替えをする事にしました。
元々二株ありましたが、それぞれ株も充実してきたので株分けをしました。
用土は湿り気がある方が調子が良いように感じたので、水苔を選択しました。
底面給水鉢は保水できる穴があるタイプです。
結果(まとめ)
- 夏など気温が高い時期に成長しやすい
- 暗い環境では成長が鈍い場合が多い
- 明るい環境ほど大きく成長する
- 強い直射日光は葉焼けを起こす
成長の兆しのなかったアンスリウムですが、直射日光に当てる事で凄いスピードで成長を始めました。
成長を望むのであれば、葉焼けを恐れずに少し弱めの直射日光を当てた方が、しっかりとした葉を展開させるかもしれません。
ただし、強い直射日光を当ててしまうと最初に葉焼けを起こしますので、全体的に葉が更新するまでにはかなりの時間を要すると思います。
この点は覚悟しなければなりませんが、水切れを起こして葉が傷んだ場合の復活方法としては良い方法ではないかと思いました。
百聞は一見にしかずと言いますが、常識にとらわれていて実際に自分でやってみなければわからない事もあるなと感じました。
植物を育てる事だけではなく、いろいろな事に関しても案外そうなのかもしれないです。
近縁種:クリスタリナムでの検証▼
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