様々な植物がある中で、私にとって「蒼角殿」は魅力的な植物の1つです。
青い玉ねぎのような不思議な外観をしており、その見た目からどのように育てれば良いのか想像がつかないと思います。
初めて育てる方は必ず育て方について調べると思います。
育て方について調べ、実際に育ててみましたので、よろしければご参考になさってください。
基本情報
学名は「Bowiea volubilis(ボウィエア ヴォルビリス)」で、和名では「蒼角殿(ソウカクデン)」や「タマツルクサ」または「クライミングオニオン」などとも呼ばれています。
多肉質で緑色の球形の球根を形成し、玉ねぎのようにうろこ状に重なり合っていますが、球根が古くなると分裂します。
葉はほとんどなく、絡み合うようにして新緑色の枝分かれした茎を伸ばします。
花は小さく、緑がかった白い花が咲きます。
世代の長さは推定10年とされています。
注意点としてボウィエアは毒を有しています。
蒼角殿が出す汁は皮膚の刺激に敏感な方は炎症を引き起こす場合があります。
ペットをお飼いの方やお子様がおられるご家庭は十分お気を付けください。
参考資料:https://en.wikipedia.org/wiki/
【自生地】
分布域は大きく分けて2つあります。
●東アフリカ(ジンバブエ、マラウイ、ザンビア、タンザニア、ケニア)
●南アフリカ(東ケープ、ハウテン州、クワズール・ナタール州、リンポポ州、ムプマランガ 州 )
東ケープではクワズール・ナタールの海岸と内陸に分布しています。
ハウテン州、ムプマランガ州等では通常、日陰のある開いた森林地帯や急な岩だらけの丘によく見られます。
草地・サバンナ・常緑の低木地帯・岩の多い土壌の森林地帯など様々な場所に自生し、通常は山脈に沿って、植生の多い川の谷のある斜面やしばしば樹木の下などに見られます。
球根部は茂みの陰で成長し、部分的に落葉で覆われています。
以上の事から、分布域は主にアフリカ南東部と広範囲に自生している事が分かりました。
分布域が広いため、自生目撃情報の多いとされる南アフリカ・ヨハネスブルグの気候をサンプルとします。
参考資料:http://www.llifle.com
参考資料:http://www.plantsoftheworldonline.org
自生地の気候(東アフリカ ヨハネスブルグ)
面倒な方は育て方へジャンプしてください
【概要】
・夏は長く、暖かく、一部曇り
・冬は短く、寒く、乾燥状態、快晴
・1年を通して、気温は2℃~26℃の幅がある
・-1℃未満または29℃を超えることは滅多にない
【気温】
●温かい季節
・9月~3月までの約5.7ヶ月続く
・1日平均の最高気温は24℃を超える
・1年の最も暑い月は1月
・平均最高気温は26℃、最低気温は15℃
●涼しい季節
・5月~8月までの約2.2ヶ月続く
・1日当たりの平均最高気温は18℃未満
・1年で最も寒い月は7月
・平均最低気温は2℃、最高気温は16℃
【雲】
●晴れの季節
・3月~10月までの約6.3ヶ月続く
・1年のうち最も晴れた月は7月
・天候は92%の割合で快晴、晴、または一部曇り
・8%の割合で本曇りまたはほぼ曇り
●曇りの季節
・10月~3月までの約5.7ヶ月続く
・1年のうち最も曇った月は11月
・天候は38%の割合で本曇りまたはほぼ曇り
・62%の割合で快晴、晴または一部曇り
【降雨】
●雨季
・9月~5月までの約の8.3ヶ月続く
・スライド31日間の降雨量は少なくとも13mm
・最も多い降雨量は、1月を中心とする31日間
・平均合計累積降雨量は100mm
●乾燥期
・5月~9月までの約の3.7ヶ月
・最も降雨量が少ないのは7月を中心とする期間
・平均合計累積降雨量は2mm
【湿度(しつど)】
湿度快適性レベルが蒸す、蒸し暑いまたは不快の割合で測定する体感湿度レベルは、年間を通してあまり変化せず、~1%の範囲に収まる。
参考資料:Weather Spark
育て方
温度耐性
【耐寒性】
現生地では最低気温が-1℃となる場合があるようですので、耐寒性はあると考えられます。
【耐暑性】
現生地での最高気温が29℃となっている事から、耐暑性はあまり高くないと考えられます。
日本での夏の高温期は苦手と思われますので、地域によってはエアコンの効いた室内に取り込むなどして、涼しい環境を確保してください。
日照
自生する場所は、主に茂みの中や樹木の下などですので直射日光は避けた方が無難かもしれません。
ただし、成長期に日陰で育てていた場合は生育不要を起こす可能性があります。
水やり
自生地の降雨量の多い時期を調べることで、成長期をおおまか予測することができます。
自生地では9月~5月までの約の8.3ヶ月間が降雨時期となっており、一番降雨量のある1月では平均約100mmとなっています。
(比較対象として東京では多い月で9月を中心とする31日間、平均合計累積降雨量は192mm)
【成長期】
ボウィエア・ボルビリスは枝がある時期は成長期です。
自生地の一番降雨量のある1月の気温をみてみると、平均最高温度は約25℃、平均最低温度は15℃となっています。
気候を日本に置き換えた場合、春・秋頃であると思いますので、春・秋成長型植物であるといえます。
【休眠期(落葉期)】
休眠期に入ると枝が枯れます。
気候を日本に置き換えた場合、休眠期は気温の低くなる冬頃といえるでしょう。
気温の下がる時期の水やりは極力控えた方が良いです。
ただし、室内で管理をしていて温度が一定以上ある場合は水やりが必要です。
新芽が展開したら水やりを再開してください。
湿度
自生地では乾燥した時期が周年続くため、乾燥を維持した方が調子が良いでしょう。
その他補足
コナカイガラムシが発生しやすい種です。
特に室内で管理している時は、風通しが悪くなるため、非常にコナカイガラムシが発生しやすいです。
古く、乾燥した鱗の残骸の中に隠れている事が多いです。
発生した場合は株が弱りますので、早めに駆除をしてください。
育成日記
2021
5/14 良い状態の蒼角殿
非常に青々とした魅力的な状態です。
夕方に少し日照の当たる室内で管理をしています。
8/23 枝が枯れる
ある時コナカイガラムシに侵されて、そのまま上部が枯れてしまいました。
それまでは青々としていたのですが、コナカイガラムシが発生してから徐々に枝枯れが進行していきました。
本来、休眠期はもう少し気温の落ち込む時期のはずです。
休眠期に入ったのは害虫によるものか、環境によるものかは今のところ不明ですが、害虫を見つけ次第早めに薬剤などで駆除をした方が良さそうです。
カイガラムシに効く特定の薬剤で駆除しました。
鱗がめくれて次の球根が露出しています。
湿り気がありますので生きてはいるようです。
落葉期は断水した方が良いようですので、枝が無くなってからは一切水は与えていません。
9/10 別個体Bの様子
こちらは別株「個体B」となりますが、枝に傷みがみられるものの、9月に入った現在でも休眠期には入っていないようです。
暑い時期でも枝のある個体もある事から、必ずしも同時期に休眠に入る訳ではないようです。
10/15 盛土
上部が枯れてしまった最初の個体ですが、乾燥により枯れてしまわないか不安だったので、念のため盛土で蒸散を防ぎました。
12/24 別個体Bの芽吹き
約3ヶ月ぶりの撮影となります。
あのあと個体Bも上部が枯れてしまいましたが、早くも動きがありました。
現在冬ですが、ここからは水やりを開始したいと思います。
エアコンは常につけております。
2022
1/11 脱皮する
しばらく何も変化のなかった、最初の株が脱皮をしました。
手でむいてみると、皮の端に小さな球根が発生していました。
せっかくなので、こちらの球根を育ててみたいと思います。
1/17 個体Bのその後
あれから午前中に直射日光の差し込む場所へ移動しました。
どのような成長を遂げるか楽しみです。
1/20 勢いよく伸びだす
個体Bの芽が出てからは、しっかりと水やりを行っていたの成長の勢いが良好です。
1/21 チビ球根の植替え後
脱皮の際に付いてきた小さな球根(以下チビ球根)ですが、植え替えをしたところ早くも芽吹きを確認しました。
発芽に関しては球根の大きさは関係ないようです。
1/28 オベリスクを超える
個体B株になりますが、こちらは成長が早いです。
しっかりと水やりを行うようになってからは、著しい成長を遂げ、スピードが衰える感じがいたしません。
早く成長させたい場合は、芽吹きだし以降たっぷりと水やりを行う事が有効のようです。
ただ、成長スピードは良いものの、分枝することがないようで1本だけが成長しオベリスクタワーを超えてしまいました。
1/31 分枝がみられる
ここへきて分枝を開始しました。
成長工程として1本だけ勢いよくシュートを出し、その後分枝をするようです。
タワーを超えてしまったので、手で下向きに調整し折り返す形にしました。
2/4 分枝の進行
まるで稲妻のような形に成長してきました。
2/17 完成形へ
室内管理だけで嘘みたいにキレイに成長してくれました。
成長を開始してからは特に何かした訳でもなく、自然とこんもりに成長してくれました。
3/9 最初の個体からも発芽
ここへ来てようやく最初の個体にも動きがありました。
個体Bに比べ、こちらの個体は発芽に時間がかかりました。
実のところ、別個体Bの発芽を確認したので、こちらの個体も水やりを行いました。
水やりが休眠を打破したのかもしれません。
3/16 ミニ球根の成長
ミニ球根が成長を始めました。
3/19 手作りオベリスクの設置
針金で手作りのオベリスクを作成したところ、蔓がオベリスクを這いはじめました。
這わせられる支柱は必須です。
実際に使用したものはこちら
4/8 ミニ球根と最初の個体
カケラのような小さな球根でもご覧のように問題なく成長する事が分かりました。
最初の個体も負けず劣らずの成長をしています。
5/17 球根の分裂
最初の個体を記録してからの大きな変化です。
上記の育て方の説明にあったように、水やりの量が多すぎると分裂しやすくなるようですが、多くやり過ぎた心当たりはありません。
形が崩れてしまうのは厄介ですが、考え方を変えれば株を増やせるのが嬉しいです。
9/6 休眠期
こちらは最初の株になります。
迎え入れてから何回か経験している休眠期ですが、やはり上部がなくなってしまうと、寂しい気持ちになります。
しばらくは分裂した球根を観賞して楽しむしかありません。
球根はというと、古い球根と新しい球根の大きさが反転していました。
古い球根は心なしか小さくなったようにも見えます。
10/7 ミニ球根の状況
忘れ去られそうになった小さい個体の登場です。
地上部の葉は枯れた状態となっています。
形は少しいびつですが、土をのけぞるほど大きく成長しました。
ずっと日のあたる窓辺で管理していましたので、直射日光に当てる事が早く大きく成長した理由だと考えています。
11/17 個体差について
早々と休眠期を迎えた最初の株に対し、個体B株ではまだ葉を茂らせている状況です。
やはり、休眠期に入る時期は個体差があるように感じてなりません。
もしそうであるならば、なるべく成長期が長く続く個体にめぐり会いたいものです。
12/15 分裂後の状況
こちらは最初の個体となりますが、12月に入り勢いよくシュートを伸ばして来ました。
昨年では春先にシュートを伸ばしてきたので、成長の仕方が変化したことになります。
分裂した事となにか関係があるのでしょうか。
分裂した株は青々としていますので、細胞が活発なのがうかがえます。
2023
2/24
年を越え、はや2月です。
「凄い」というべきか「しぶとい」というべきか茂りに茂っています。
水切れし過ぎてしまいました。
水切れをすると枝の色が薄くなり、度を超えると球根もシワが寄るので分かりやすいです。
5/7 ミニ球根
脱皮を続け、成長し続けています。
まとめ
- 春、秋に成長する植物
- 高温多湿に弱い
- 枝が枯れたら断水
- 乾燥に強いが、成長期はしっかり水やりをする
- コナカイガラムシに気をつける
- かなり小さな球根でも芽吹く
【訪問者のコメント欄】
詳しい ご説明 有り難うございました 参考になります。
コメント有難うございます。
こういったコメントをいただけると励みになります。
その後も成長を続けているので、写真が貯まれば後追いの記事も考えております。