断崖の女王(シンニンギア レウコトリカ)の育て方 花が咲かない・育たない時の対処方法や良い状態を維持する秘訣について

育成日記
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シンニンギアはグロキシニアなどの品種もありますが、最近ではシンニンギアといえば本種レウコトリカを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。

良く見かけるようにはなりましたが、育て方についてはまだ良く分からない品種であると思います。

jibunが実際に育ててみて分かったことを公開しますので、参考にしていただけたら幸いです。

基本情報

和名では「断崖の女王」と呼ばれていますが、学名では「Sinningia leucotricha(シニンギア・レウコトリカ)」となっています。

コーデックスとして扱われており、丸い山芋のような形状をしています。

幾つかある種類の中でも、かなり特徴的な葉で、細やかな白い毛に覆われており、触ると柔らかく動物の毛のようです。

この白い毛は若い葉ほどフサフサしており、成長するにつれて密集度が落ちます。

葉単体に生える毛の数は決まっており、成長しても増えることが無い為です。

花は小さく芳香性のあるオレンジ色の管状花です。

栽培難易度は、そこまで難しくなく室内環境で容易に育てられます。

自生地について

面倒な方は育て方へジャンプできます。
ブラジル南部パラナ州の海抜600m以上の高原の崖や岩の割れ目などに自生または着岩しています。

パラナ州の南部・中部・北部では気候が異なるようですが、レウコトリカが自生する南部の気候は温帯気候で、熱帯的な時期と低温な時期のはっきりとした季節のようです。

昼夜の寒暖の差が激しく、「1日に四季がある」と喩えられるほど天候が変わりやすいようです。

日本の本州においては温帯気候なので、多くの地域で自生地と同じ環境にする事が可能です。

ブラジル・パラナの気候

・夏は暑く、高湿で、湿度が高く、ほぼ晴れ
・冬は短く、涼しく、一部曇り
・1年を通して、気温は 8°C~31°Cに変化
・2°C未満または 35°Cを超えることは滅多にない

【気温】
暑い季節
・11月~3月まで約3.5ヶ月続く
・1日平均の最高気温は28°Cを超える
・1年の最も暑い月は1月
・平均最高気温は31°C
・最低気温は20°C

涼しい季節
・5月~8月18日まで約2.9ヶ月 続く
・1日当たりの平均最高気温は19°C 未満
・1年で最も寒い月は7月
・平均最低気温は8°C
・最高気温は16°C

【雲量】
晴れが多い季節
・8月~5月までの約8.3ヶ月
・1年のうち最も晴れた月は3月
・天候は74% の割合で快晴、晴、または一部曇り
・26% の割合で本曇りまたはほぼ曇り曇天が

多い季節
・5月~8月頃の約 3.7ヶ月
・1年のうち最も曇った月は6月
・天候は 46% の割合で本曇りまたはほぼ曇り
・54% の割合で快晴、晴または一部曇り

【降雨】
雨季
・最も多い降雨量のある月は3月を中心とする約31日間
・平均合計累積降雨量は140mm

乾季
・最も降雨量が少ない月は7月中心
・平均合計累積降雨量は25mm

湿度しつど
高い季節
・10月~4月の約5.8ヶ月
・快適性レベルは少なくとも13% の間
・蒸す、蒸し暑い、または不快です
・1年間で最も蒸す月は2月で52%の確率で蒸す

低い季節
最も蒸さない月は7月で、蒸す可能性は1% 

育て方

温度耐性

【耐寒性】
自生地の最低気温は2℃程度となっており、寒さには-1℃まで耐えたという事例があるようですので、耐寒性は比較的強い方とは思いますが、氷点下になる地域では室内に取り込んだ方が安全です。

気温が低くなってくると休眠期に入り、多くは落葉します。

【耐暑性】
現生地の最高平均気温が30℃ほどとなっていますので、日本の真夏のような高い気温に弱いです。

30℃を超えるような季節はエアコンの効いた室内など涼しい場所へ移動してください。

日照

現生地では岩の割れ目などに自生または着岩とありますので、似たような環境として午前中に直射が当たり、午後から日陰になるような場所が良いでしょう。

明るい環境は好みますが、正午と西側などの強い日差しが当たる場所は自生地とは異なる環境の為、嫌います。

完全な日照下で生育したものよりも、70%に遮光された環境で生育した方が生育が良いとされる研究結果もあるようです。

参考資料:Scientific Electronic Library Online

水やり

【成長期】
現生地での降雨量のある時期は 3月を中心とする約31日間となっており、平均合計累積降雨量は140mmです。
(比較対象として東京では多い月で9月を中心とする31日間、平均合計累積降雨量は192mm)

3月の気温を調べてみると、最高平均気温がが約27.5℃、最低平均気温が約17.5℃となっています。

30℃のような高温とならない、過ごしやすい季節が成長期となります。

また、寒暖の差があった方が成長が良好のようです。

日本において暖かくもあり、寒くもあるような時期として秋や春が成長期となるでしょう。

乾燥をさせて育てるというイメージはありますが、成長期には土が乾いたら、たっぷりと水を与えましょう。

【休眠期】
降水の少ない季節は 7月中心で、平均合計累積降雨量は25mmとなっています。

気温を調べてみると最高平均気温16.5℃、最低平均気温8℃となっています。

10℃を下回る時期では水やりはかなり控えめにしたほうが良いです。

ただ、この時期のおいても少量の降水があるようですので、全く水やりをしないというのもまた問題となるかもしれません。

ただし、氷点下に近い環境では断水をした方が良いでしょう。

土壌

岩の割れ目などは雨が降ってもすぐに乾燥がするような環境ですので、水はけのよい土壌を使用する事が望ましいでしょう。

湿度(しつど)

自生地では暖かな季節はしっかりと湿度があり、寒い季節では乾燥します。

季節に応じた湿度しつどと乾燥の両方の調整が必要です。

成長期は湿度が必要ですが、高温にならないよう注意が必要です。

休眠期は湿度は不要です。

極端に寒くまたは暑くなるだけ注意をすれば、日本の気候と似ているので育つ環境に整えやすいといえます。

開花終えた後は花茎を切り落とす事により、次の開花を促す事ができます。

必ず成功することに限りませんが、休眠中に古い茎がある場合は、切除することで成長を開始する場合があります。

開花するまでに発芽してから3年くらい必要とされています。

増殖

通常種子からによるものがほとんどで種からの発芽は容易のようです。

挿し木での増殖は難しく、成功した場合でも塊茎つくらない場合が多いようです。

参考資料:What Is A Sinningia?

管理日記

2021

8/4 記録開始

現在花は咲いておりません
ややヘタリ気味か

管理している場所は午前中だけ直射日光のあたる窓際です。

水を切らし気味に管理していたので、少し葉が垂れています。

本種はコーデックスですが、比較的土の湿り気を好む品種のようです。

ところどころ毛が生えている。
しまった!水がかかった!

塊茎部もあるので、栄養系ではなく実生です。

水やりの際に水がかかると地肌が見え、緑色をしていました。

9/30 特に変化なし

育成記録から約2ヶ月後の撮影となりますが、あまり変化がありません。

2022

1/12 傷みが出始める

約5ヶ月後の様子です。

少し葉が傷んできたように思います。

多少の傷みは出てきたものの、未だ目立った変化は起きていません。

古い枝は切り詰めて、新しい芽を出した方が良いのでしょうか。

2/25 切り詰める

バッサリと!
芽が形成されているのを確認

記録を開始から半年以上経過しました。

あまりにも変化が無いので、思い切って切り詰める事にしました。

よく観察してみると株元には既に次の芽が控えているようです。

3/16 葉の展開を確認

切り詰めてから約3週間ほどした頃、ようやく動きがみられました。

剪定をしてからすぐに動きが確認できましたので、どうやら思い切って切り詰めた方が良いようです。

切り詰めた刺激により、成長を促すことができるのではないでしょうか。

株元に葉芽が確認出来たら、ほぼ間違いないでしょう。

jibunは剪定器具の殺菌・消毒は行いませんでしたが、病気を考えてしっかりと除菌を行った方が良いかもしれません。

4/1 芽吹きに勢いが出る

楽しくなってきた
これは花芽か??

動きがみられてからは、順調に成長をしてくれています。

芽吹き出しは、うぶ毛が密でありフサフサ感があります。

なんと中央部には花芽のようなものが確認できます。

ラベルには花の写真が写っちゃってますが、どんな花を咲かせるのか楽しみです。

やはり日々何かしらの変化があると面白みが違いますね。

4/12 節間が伸びる

もう、モッフモフ
花芽確定

節間が伸びてきました。

水を切らさないように、やり過ぎないようにうまく調整をしています。

ちなみに私がよく使っている水差しは手の力で水量を調節できるのでおすすめです。

水は普通の水道水ではなく活力剤を使用しています。

4/15 蕾の成長

蕾もオレンジ色に色づき始めました。

開花が近いようです。

花弁も毛でまみれています。

4/19 開花一歩手前

開花直前でも毛が!

花の成長が進み、かなり色づきました。

今だに花にも毛が生えています。

4/21 開花

花も鮮やかで様々な特徴をもった、かなり魅力的な植物です。

花の内部はクロブチの模様がありました。

まとめ

  • 春や秋などが成長期
  • 成長期は少量で、こまめな水やりが必要
  • 30℃を超える高温には弱い
  • 柔らかな光、遮光された明るい環境を好む
  • 葉を切り詰めると刺激により新しい葉が展開する(切り口病気注意)
  • 休眠期は水やりを控える(落葉後は断水)

近縁種「フロリアノポリス」の成長日記▼

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【訪問者のコメント欄】

  1. 去年購入して葉から変化が見られず
    花もさかないので、記事のように思い切って切って見るのもありですかね?

    • コメント有難うございます。
      私が実際に検証した結果では切り詰める事によって新しい葉の成長を促す事ができました。
      同じ状態で管理していては今後も変化がみられない可能性はあります。
      もし切り詰める場合は、万が一の為、カットする道具を消毒してからの作業をおすすめします。

  2. 園芸店で一目惚れ、、、2鉢購入しました。公開文章を参考に頑張って育てます。有難うございました。

    • コメント有難うございます。
      参考にしていただいたとの事で嬉しく思います。
      ラムズイヤーのようなモコモコ感があって、すごく可愛らしい品種ですよね!
      私も実際に育ててみた感じ本種は育てやすい品種だなと感じました。
      スクスクと育ってくれることを願っております。