おいたち
「この植物、値段が高いけどなんでだろうね?」
仲間と話していて、ふとした時に出た疑問です。
高い植物もあれば安い植物もあります。
話し合いの結果、増やすのが難しいから高価なのではないかとの結論にしました。
「増やすのが難しいのであれば、検証してみれば良いじゃないか!」
そういった話の流れからホヤの増殖にチャレンジする事にしました。
増殖に挑戦する植物
こちらのホヤは非常に美しい模様しており高額で販売されている品種のようです。
品種についてはこちら
これまで様々なホヤを管理してきましたが、土に接触していない茎から根を出しているのをよく見かけました。
これは気根と呼ばれるものですが、そういった記憶からホヤは気根で簡単に増やせるではないかと考えていました。
異なる種類にはなりますが、フィカス類(ゴムの木の仲間)を増やす方法として取り木をする事があります。
「挿し木」の場合は発根する前に切り取り、「取り木」の場合は発根したのを確認してから切るので、失敗の少ない増殖方法とされています。
この方法は植物によっては向き・不向きがあると思いますが、今回は「取り木」を参考にすることにしました。
根の出やすいホヤであれば気根がすぐに見つけられますが、こちらの品種は気根があまり見当たりません。
よく確認すると葉柄(葉に直結する茎)から数cm前後に気根の跡を発見しました。
痕跡から水苔を覆う位置は葉柄付近にする事にしました。
発根させる場合は葉柄の付近から根を生やす植物が多いので覚えておいてください。
検証日記
2022
9/1 検証開始
記憶と感を頼りに増殖を開始します。
本来「取り木」を行う場合、ナイフなどで樹皮を剥いて水苔などでビニールを覆いますが、今回は茎を傷つけずに水苔を巻いて紐で縛っただけです。
国内では最近までコロナウイルスの影響で水苔の輸入がうまくいってないようで、高額または品薄状態だったようです。
葉柄のある節は合計で4箇所ありましたので、失敗も考慮して全ての箇所を水苔で覆いました。
管理は育成ライトを使用していきます。
10/7 発根の確認
水苔を巻いてから約1ヶ月ほど経ちましたので発根を確認してみます。
紐をほどき水苔を取り除くと水苔と混ざって分かりづらいですが、しっかりと発根していました。
狙いどおりの発根です。
ホヤ自体が増殖しやすい事もあり、他のすべての節でも発根を確認しました。
今回の検証で大変だった点はビニールで覆わなかったので水苔の乾燥が著しかった事です。
もし増殖させたいならビニールで覆った方が管理が楽かもしれません。
乾燥の度合いによっては発根したものが消失してしまうかもしれないので注意してください。
発根に浮かれて肝心な事を忘れていましたが、土に植えて育たないと意味がありません。
という事で土に植え替えてみました。
土は一般的な培養土を選択しました。
育て方を調べてみたところ、ホヤは水はけの良い土を好むみたいです。
土に植え替える場合はなるべく排水性の高い用土を選択したほうが良いかもしれません。
jibunが植え替えする時に若干の苦労する事がありました。
葉が鉢の直径よりも大きかったので、葉が邪魔をして用意した鉢に植え替えられませんでした。
勿体ないですが、苦肉の策として片方の葉を切除することにしました。
2023
4/13 新芽を確認
約半年後の様子です。
これまで全く動きの無かったホヤですが、ここでようやく新芽を確認しました。
新芽のためか、緑色ではなく褐色を帯びています。
どのようになるか非常に楽しみです。
4/14 落葉
翌日、楽しみにしていた新芽に異変が現れました。
水やりの最中に落葉してしまったのです。
やや黄みがかった色をしているとは思いましたが、何かしらの問題によって落葉したようです。
非常に残念ですが、新しく芽吹くまで辛抱強く待ちたいと思います。
7/18 音沙汰なし
さらに約3ヶ月の月日が流れましたが、全く音沙汰のない状況です。
どこかで聞いた情報ですが「ホヤは肥料食いだ」と言っていたのを思い出しました。
土に植え替えてから一度も肥料を与えていなかったので、こちらの観葉植物専用液肥を与えることにしました。
高濃度希釈タイプで昔よく販売されていたアンプル剤を思い出します。
こちらは取り木を行った親株です。
親株についてもほとんど成長がみられません。
取り木を行った他を含めた4個体の様子です。
同じタイミングで移植をしましたが、他の個体についても未だ全く成長がみらせません。
ここで本種が高額な理由について気がついた事があります。
それは成長速度が遅いからではないかという事です。
8/16 枯れる個体現る
やはり保険はかけておくものです。
植え込みを行った4個体のうちの1株が枯れてしまったようです。
前回の写真を見てみると分かりますが、既に黄色くなっていました。
黄色く変色している場合は後々に枯れてしまう可能性があります。
8/25 ニ度目の葉芽
長い事、動きのない期間が続きましたが、ようやくこの時がきました。
小さい葉芽を確認しました。
前回は落葉してしまいましたが、今回はお願いします。
9/8 他の取り木に変化
ついに他の取り木にも動きが見られました。
肥料が効いたのでしょうか。
最初に検証を始めた個体とは違い、ツルのようなものが伸びてきています。
このツルは開花をさせるために必要な大切な器官なので剪定はしない方が良いとの事です。
9/11 3日後
3日でかなり成長したように感じます。
ツルの節には葉が出てきています。
9/28 2個体の成長
前回から17日経過しましたが、どこが変化したか分かりますでしょうか。
どうやら葉が大きく成長したようです。
しかし残念な事に葉の形は歪で色は黒ずんでしまいました。
もう一方の個体でも葉が大きくなりました。
こちらの個体は葉が展開した方向が下葉と重なってしまったようです。
葉裏を確認するとコナカイガラムシが発生していました。
このような見えづらく狭い空間がある場合は害虫が発生している場合がありますので、しっかりと確認をした方が良いです。
最初に検証した個体はというと嫌な予感はしておりましたが落葉をしてしまいました。
茶色い鉢に植わっている2個体の成長の仕方では、まずツルが伸びてから葉の展開をさせました。
この違いは何か関係があるのでしょうか。
あまりにも長い間、成長がみられないので根が消失しているのではないかと考え掘り上げてみました。
今まで枯れはしませんでしたので、それはなかったようです。
葉と土の距離が近かったので、今回は葉を少し上に傾けて植えました。
12/2 葉挿し
こちらは葉挿しをしたものになりますが、葉挿しでも問題なく成功するようです。
12/19 二個体順調
更に2ヶ月以上経過しました。
本種の特徴である葉の模様は水をかけると際立ちます。
撮影時には気が付きませんでしたが、こうして見てみるとちゃんと成長していることが分かりました。
新たに二つの葉が展開しています。
最初の個体は葉が歪でしたが、展開するごとに正常に戻ってきているようです。
こちらの個体も同じく前回よりニ枚の新しい葉が展開しています。
最初の個体はというと全く成長なしです。
成長している個体と比較してみると甲羅状の模様も薄く葉も小さいです。
もしかすると取り木をするには若過ぎたのかもしれません。
取り木を行うなら成長しているものが良いでしょう。
まとめ
- 茎を傷つけずに取り木を行った
- 葉柄付近に水苔を覆う
- ビニールで覆わない場合は乾燥に注意
- 約1ヶ月で発根
- 成長がかなり遅い
- 取り木の対象は成長したものが良い
【訪問者のコメント欄】
初めまして。
この記事を読んでホヤの取り木に挑戦したいと思っています。
取り木し、土に植えたホヤのその後の経過はいかがでしたでしょうか?
お返事が遅くなりすみません。
現在も枯れてはなく、取り木後も生存に成功しました。
おそらく、ホヤ全般に取り木は成功しやすいのではないかと思います。
詳しい話は近々、記事を更新しますので、少々お待ち下さい。
2023/7/30少しブログを更新しました。