概要
2021年4月1日より、パテントのある植物を販売時にPVPマーク等の表示義務化となりました。
PVPマーク等を表示させる事によって購入者側に「この植物はパテント商品である」という事をわかりやすくする為のものです。
販売店側がこの表示を怠ると法律により処罰が課せられます。
この義務化はまだ認知度が低いと思われますので、PVP商品を表示せずに販売している園芸店やフラワーショップ店も多いのではないかと推測されます。
知らずに販売して処罰を受けないように注意してください。
※パテントの無い商品は今まで通りに販売できますのでご安心ください。
エビデンス:農林水産省「種苗法改正により登録品種の表示が義務化」
パテント(patent)について
そもそも、パテント(patent)とは何なのか調べてみると主に「特許」などの事のようです。
では「特許」とは何なのか掘り下げて調べていくと「知的財産権」の事を指していました。
さらに「知的財産権」にはいくつか種類があり、有名なもので著作権(著作権法)などがありますが、その中に「育成者権(育種法)」があります。
この「育成者権(育種法)」により植物の新品種の保護がなされているということらしいです。
植物育成者は品種(新品種)を農林水産省知的財産課の審査を経て品種登録がなされるとその品種を独占的に使用することができる育成者権(特許権)が与えられます。
PVPはPlant Vareity Protecection(植物品種保護)の略式名称であり、育成者権(特許権)の登録品種であるという証明の為に表示するマークです。
まとめると以下の通りです。
- パテント=特許
- 特許の一つに知的財産権がある
- いくつかある知的財産権の中に育成者権(育種法)がある
- 育成者権(育種法)によって植物の品種保護されている
- 品種保護は農林水産省の品種登録によって管理されている
- 品種登録の目印としてPVPマークがある
詳細は農林水産省のリンク育成者権についてを参照してください。
義務を怠った場合の罰則
農林水産省によれば、努力義務であった「登録品種である旨」の表示を法改正により「令和3年4月1日から法的義務となり、違反者には10万円以下の過料が課せられる場合があります。」となっています。
義務を怠ると場合によって罰金が課せられるようです。
義務化対象となる者
店頭販売業はもちろんのことカタログなどでの通販業やインターネットでの販売業も対象となります。
多岐にわたる販売業者が日本全土ありますので、対象はかなり大きな規模といえます。
具体的な義務の内容
以下のいずれか一つを表示
登録品種 |
品種登録の文字及びその品種登録の番号 |
PVPマーク |
【店頭販売の場合】
種苗に直接または種苗の包装に表示
【通信・ネット販売の場合】
カタログや注文書・掲載ページに適切に表示
表示例は農林水産省「種苗法改正により登録品種の表示が義務化」を参照してください。
義務化の背景
その要因の一つとして日本国有の登録品種が外国に持ち出され、不当な増殖や逆輸入の侵害がある為とのことです。
一例)
登録品種名:とちおとめ
栃木県の名産いちご「とちおとめ」はあまりにも有名ですが、この品種が海外へ持ち出され増殖されたものが販売されたことを確認されました。
日本で生み出された品種が海外に盗まれて増殖され、営利を目的として販売されてしまうことが頻発しているようです
こうした背景を考えれば、日本の財産や個人の作出した品種を守るための政策として表示義務化は必要な事であると思います。
販売店側の努力により、登録されたものかどうかを一目瞭然とする事によって「知らなかった」という事は言い訳は防ぐことができるかもしれません。
問題点
義務化に際して疑問点が残ります。
品種によっては「品種登録申請中」だったりすることです。
いつ品種登録がなされるか分からないので、登録がされたか都度確認しなければなりません。
申請されたかどうかも同様になりますので、確認するの大変な作業となります。
他には品種登録名と商標登録名が混同して混乱が生じてしまうのではという事です。
例えば有名ないちごとしてあまおうがありますが、この「あまおう」は商標登録名となっており、品種登録名の正式名称は「福岡S6号」となっています。
最後に
今後は販売店側が品種登録がなされていないかチェックする努力が必要となってきます。
この義務化により日本の価値ある品種が守られるという自覚が必要であると言えます。
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